パソコンやスマートフォン、外付けHDDやSDカードなどが突然故障し、保存していた仕事のデータや家族写真など、大切なデータが取り出せなくなる、という事は突然起こります。
そんな緊急事態に頼りになるのが「データ復旧業者」です。壊れたパソコンやスマートフォン、HDDなどあらゆる記憶メディアからデータを救出してくれます。
しかし、いざデータ復旧業者を探すと料金の相場や業者による料金形態の違いに不安を感じる方もいるでしょう。口コミなどを見ると「数万円で復旧できた」ケースもあれば「数十万円請求された」ケースなど様々な情報が溢れています。
この記事ではデータ復旧料金の相場や、費用に差が大きい理由をわかりやすく解説します。おすすめのデータ復旧業者もご紹介していますので、参考になさってください。
目次
主要10社のデータ復旧業者の料金比較
主要10社のHPに記載されている料金を比較すると、業者ごとに復旧料金に大きな幅があることが分かります。
ただし、HPに記載されている料金はあくまで目安であって、実際の復旧料金とは異なります。正確な復旧料金を知るには、初期診断(調査)を受けて見積もりを出してもらう必要があります。
初期診断を無料で行ってくれる業者もあるので、まずは無料初期診断で金額を確認することがおすすめです。
HDD | NAS・サーバ | SSD | USB・SDカード | スマートフォン | |
デジタルデータリカバリー | ¥5,000~ | ¥5,000~ | ¥5,000~ | ¥5,000~ | ¥5,000~ |
アスク データリカバリーサービス | \70,000~ | \120,000~ | — | \10,000~ | — |
パソコンドック24 | ¥8,800~ | ¥52,800~ | — | ¥19,800~ | — |
DATA SMART | ¥50,000~ | — | — | \40,000~ | ¥50,000~ |
イー・テック・ソリューションズ | ¥20,000~ | — | — | ¥20,000~ | — |
GLC DataTecnology | ¥25,000~ | ¥25,000~ | ¥25,000~ | ¥25,000~ | ¥25,000~ |
PCデポ | ¥49,500~ | — | — | ¥19,800~ | — |
データレスキューセンター | ¥19,800~ | — | — | ¥9,800~ | — |
LIVEDATA | ¥44,000~ | ¥99,000~ | ¥99,000~ | ¥29,700~ | — |
AOSデータ復旧サービスセンター | ¥63,800~ | — | ¥63,800~ | ¥41,800~ | ¥52,800~ |
くまなんピーシーネット | ¥55,000~ | ¥55,000~ | — | ¥22,000~ | ¥55,000~ |
※2023年12月27日時点の情報
業者によってデータ復旧の料金が異なる理由
データ復旧の料金はなぜ業者によって異なるのか、その理由は以下の4つが大きく影響しています。
- 故障の原因・障害の程度によって復旧難易度が異なる
- 記憶メディアによって復旧難易度が異なる
- 復旧するデータの総容量によって作業量が異なる
- 業者によって料金形態が異なる
故障の原因・障害の程度によって復旧難易度が異なる
記憶メディアが故障する原因は「論理障害」と「物理障害」の2つに分けられます。一般的に物理障害の方が重度の障害であり、復旧難易度が高くなるため、費用も高額になる場合が多いです。
論理障害
論理障害とは、機器本体は壊れていないものの、保存データやフォルダ、もしくはデータを管理しているシステム(ファイルシステム)が破損することで起こる障害を指します。
物理障害
物理障害とは、機器本体が物理的に破損していることで起こる障害を指します。「落下による衝撃」「落雷」「水没」「経年劣化」によって発生します。
物理障害が発生している機器からデータを復旧するには、高い技術力と専門の設備か必要なため、そもそも対応できる業者も少ない状況です。
また、それぞれの障害の程度によっても復旧の難易度は異なります。障害の程度は実際に機器を診断(調査)してみないと分からない為、まずは無料の初期診断で「故障の原因」「障害の程度」を明らかにすることをおすすめします。
記憶メディアによって復旧難易度が異なる
同じ故障原因・障害の程度であっても、記憶メディアによって復旧難易度は変わります。
一般的にHDDが複数あるRAID機器や、構造が複雑と言われるSSD・スマートフォンはHDDやUSBと比べて復旧難易度が高く、復旧料金も高くなる傾向にあります。
復旧するデータの総容量によって作業量が異なる
復旧するデータの総容量が多ければ多いほど、復旧作業は長くなるため料金にも影響があります。
大容量のデータを保存しているNASやサーバーは復旧の難易度だけでなく、容量も大きいため復旧料金が非常に高額になることが多いです。
業者によって料金形態が異なる
データ復旧の料金は上述した「障害の程度」「記憶メディア」「データの総容量」によって変わりますが、その料金を決定するシステムは業者によって異なります。つまり、同じ状態の機器であっても、業者によって見積もり金額が変わるのです。
データ復旧業者の料金形態
データ復旧業者の料金形態は大きく2つに分類できます。「定額料金制」と「成功報酬制」です。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを確認し、ご自身にあった料金形態のデータ復旧業者で見積もりを取りましょう。
定額料金制
定額料金制とは、障害レベルによって定額の料金プランが決まっている料金形態を指します。定額料金制のメリット・デメリットは以下が挙げられます。
メリット
- 事前に金額が決まっているため分かりやすい
定額料金制の大きなメリットがは金額が決まっているため、あらかじめ予算によって依頼するか判断できる点です。
デメリット
- 重度の障害は対応ができない可能性がある
- 低レベルな作業しか行わず、復旧に失敗する可能性が高い
定額料金制を採用している業者では、安価で収まる低レベルな作業しか行っていない可能性があります。
データ復旧作業はデータ復旧したい機器の障害の程度・総容量・記憶メディアの種類・時間的コストなどによって、必要な作業工程が異なります。しかし、定額料金制の場合は機器によって異なる必要な復旧工程ではなく、事前に決まっている一定の作業しか行っていない為、一定の料金で作業が行えるのです。
定額料金制の業者では、市販の復元ソフトを利用した簡易的な作業のみ対応していると考えられるため、確実にデータを復旧したい場合や、物理障害の場合は定額料金制の業者は注意が必要なのです。
成功報酬制
成功報酬制とは、機器の初期診断結果に基づき、必要な復旧工程によって料金を決定する料金形態です。成功報酬制のメリット・デメリットは以下が挙げられます。
メリット
- 定額料金制の業者より高い復旧率が期待できる
- 復旧に失敗した場合、料金がかからない
成功報酬制の業者では機器の初期診断後に正確な復旧料金が提示されます。固定の簡易的な復旧作業ではなく、それぞれの機器の状態にあわせた復旧作業工程を踏む為、定額料金制の業者よりも高い復旧率が期待できます。
また成功報酬制は、復旧に失敗した場合の料金負担がありません。万が一復旧できなかった場合の金銭リスクを低く抑えることができるため、安心して依頼できるメリットがあります。
デメリット
- 初期診断の結果が出るまで正確な見積がわからない
前述したように成功報酬制の業者では初期診断をしてから正確な見積を算出するため、相場を把握してから機器を預けたい方にとっては不安を感じるかもしれません。
また、成功報酬制の業者であっても技術力や復旧率には大きな差があります。成功報酬制かつ、技術力の高い業者を選ぶことが重要です。
悪質業者・低復旧率の業者を見極める方法
データ復旧業者の中には復旧率が低く、対応できないことがわかっていながら作業費や部品費用を高額請求してくるような悪質な業者が存在することも事実です。
悪質な業者に依頼してしまい後から後悔することのないよう、悪質業者や復旧率の低い業者を見極めましょう。
悪質業者や復旧率の低い業者を見極めるポイントは以下の通りです。
- 格安プランの業者への依頼はリスクが高い
- 完全成功報酬制を謳っている業者は復旧率が低い可能性が高い
- HP上で情報が少ない業者は怪しい
格安プランの業者への依頼はリスクが高い
格安プランを謳っている業者は技術力が低く、重度障害に対応できないケースが多いです。
データ復旧の見積りは対応可能な範囲の作業で算出するため、簡単な作業しか行えない場合に費用も安くなる可能性があります。簡単な復旧作業をした結果、重度障害で対応できずに失敗するケースも数多くあるため注意しましょう。
また業者によっては見積後に追加作業費や部品代を請求されることもあるようです。
「完全」成功報酬制を謳っている業者は復旧率が低い可能性が高い
成功報酬制の中でも「完全成功報酬制」を謳っている業者で復旧率や復旧設備を公開している業者はありませんでした。
完全成功報酬制の場合、復旧に失敗したら費用がかからない仕組みですが、その実態は明らかではありません。本当に復旧に成功しているのか、そもそも自社内で復旧しているのかも不透明です。
HP上で情報が少ない業者は怪しい
業者が公開している情報は、あくまでも「自社の強み」が中心です。HPに情報が少なく、重要な情報が載っていない場合、依頼後に事前に知らされていない追加料金が発生する・設備が少なく復旧作業に時間がかかってしまう・復旧率が低く、作業に取りかかったものの失敗した等、復旧依頼後にマイナスな点が発覚する恐れがあります。
反してHPに復旧率や過去の実績、対応可能な機器や症状、料金形態、設備の様子などを紹介している業者は、依頼者に対して良心的と言えます。
復旧率が高く信頼できるデータ復旧業者は、以下の情報を公開していることが多いです。
- データ復旧率
- 過去の復旧実績、事例
- 復旧設備の様子
事前に多くの情報を確認できれば、依頼後のギャップも少なく安心です。
まとめ
今回は、データ復旧業者の費用ついて解説しました。
同じ機器であっても業者によってデータ復旧費用は変化します。単に「料金が安いから」「定額で分かりやすいから」という理由だけで業者を選ぶのは、データ復旧に失敗するリスクが高いです。
技術力の高い業者で見積りを出してもらい、安全にデータを復旧しましょう。